アクティブファンドとは?意味・投資成績・インデックスとの違いを徹底解説

アクティブファンド

アクティブファンドとは?意味・投資成績・インデックスとの違いを徹底解説

投資信託を選ぶ際、「アクティブファンド」と「インデックスファンド」という言葉をよく目にしますね。インデックスファンドが「市場平均を目指す」のに対し、アクティブファンドは「市場平均を超えることを目指す」と言われます。「プロが運用してくれるなら、インデックスより儲かるのでは?」「でも手数料が高いって聞くし、実際の投資成績はどうなの?」と疑問に思う方も多いでしょう。

アクティブファンドとは、専門家であるファンドマネージャーが独自の知見や分析に基づいて積極的に運用を行い、市場平均以上のリターンを追求する投資信託です。その意味や運用手法、メリット・デメリット、そして気になる投資成績の実態、さらにインデックスファンドとの違いを理解することは、自分に合った投資信託を選ぶ上で非常に重要です。

この記事では、「アクティブファンド」とは何か、その基本的な意味から、具体的な運用スタイル、投資成績の現実、インデックスファンドとの比較、そして選び方のポイントまで、わかりやすく徹底解説します。

アクティブファンドとは?用語を徹底解説

アクティブファンドの基本的な意味 ~市場平均超えを目指す投資信託~

アクティブファンドとは、

特定のベンチマーク(比較対象となる指標、通常は日経平均株価やTOPIX、S&P500などの市場指数)を上回る運用成果(リターン)を獲得することを目指して、ファンドマネージャーが独自の調査・分析に基づき、投資対象(株式、債券など)の銘柄選択や売買タイミングの判断を積極的に行う投資信託

のことです。積極運用型投資信託とも呼ばれます。

ややこしいですが要するに

インデックスよりも良い投資成績を目指す投資信託

のことです。

インデックスファンドがベンチマークに「連動する」ことを目標とするのに対し、アクティブファンドはベンチマークに「打ち勝つ」ことを目標としています。つまり、市場全体の平均的なリターン以上の収益を、運用者の能力や戦略によって積極的に追求していくのがアクティブファンドの基本的な考え方です。この、ベンチマークのリターンを超過する部分のリターンを「アルファ(α)」と呼び、アクティブファンドはアルファの獲得を目指す運用と言えます。

運用スタイル(アクティブ運用)の特徴

市場平均超えという高い目標を達成するために、アクティブファンドは以下のような特徴を持つ「アクティブ運用」と呼ばれる運用スタイルを取ります。

  1. ファンドマネージャーの役割が大きい: アクティブファンドの運用成績は、運用責任者であるファンドマネージャー(および彼らを支えるアナリストチーム)の手腕に大きく依存します。彼らは、経済動向、市場環境、個別企業の財務状況や成長性などを深く調査・分析し、専門的な知識と経験に基づいて投資判断を下します。ファンドマネージャーの投資哲学や得意な分析手法が、ファンドの個性やパフォーマンスに色濃く反映されます。
  2. 積極的な銘柄選択: ファンドマネージャーは、「これから値上がりしそうだ」「市場価値に比べて割安だ」と判断した銘柄を独自の基準で厳選し、ポートフォリオに組み入れます。ベンチマークの構成銘柄にとらわれず、時にはベンチマークに含まれていない銘柄に投資したり、特定の銘柄への投資比率を高めたりします。
  3. 機動的な売買タイミングの判断: 市場の状況は常に変化するため、「買い時」「売り時」を判断し、機動的にポートフォリオ内の銘柄を入れ替えることもアクティブ運用の特徴です。市場の上昇局面だけでなく、下落局面でも損失を抑えたり、むしろ利益を出したりすることを目指す戦略(例:空売りを活用するなど)を取るファンドもあります。
  4. 独自のポートフォリオ構築: ベンチマーク(指数)に機械的に追随するインデックスファンドとは異なり、アクティブファンドはファンドマネージャーの判断に基づいて独自のポートフォリオを構築します。そのため、ベンチマークとは異なる値動きをする可能性が高くなります。良くも悪くも、ファンドマネージャーの「色」が出る運用と言えます。

誤解を恐れずに言えば、暴落時に機動的に銘柄組み換えや空売りを使って資産の目減りや、暴落時にも収益を上げることができるファンドということです(しかしファンドマネージャーの手腕による)。

アクティブファンドの種類(運用方針による分類例)

アクティブファンドは、どのような基準や哲学に基づいて市場平均超えを目指すかによって、多種多様な種類が存在します。代表的な分類例をいくつか挙げます。

  • バリュー型アクティブファンド: 企業の本質的な価値に比べて株価が割安と判断される銘柄(バリュー株)に投資し、将来的な株価の価値修正(上昇)を狙います。
  • グロース型アクティブファンド: 将来的に高い成長が期待される企業の株式(グロース株)に投資し、株価の大幅な上昇によるリターンを狙います。
  • テーマ型アクティブファンド: 特定の投資テーマ(例:AI、ESG/SDGs、メタバース、再生可能エネルギー、ヘルスケア、水資源など)に関連する企業に集中投資します。時代のトレンドに乗ることを目指します。
  • セクター型アクティブファンド: 特定の業種(例:情報技術セクター、金融セクター、生活必需品セクターなど)の銘柄を中心に投資します。
  • 小型株/中型株アクティブファンド: 時価総額が比較的小さい、あるいは中程度の企業の株式に投資します。大型株に比べて情報が少なく、非効率性が存在しやすいとされるため、アクティブ運用が有効な場合があると考えられています。
  • 特定運用者哲学型ファンド: ウォーレン・バフェットやピーター・リンチ、フィリップ・フィッシャーといった著名な投資家の投資哲学や手法を参考に、あるいはそれを実践するファンドマネージャーが運用するファンド。

これらはほんの一例であり、投資対象(国内/海外、株式/債券/その他)、運用手法(ロング・ショートなど)、リスク水準などによって、さらに細かく分類されます。

人が運用しているからこその強み弱みがもろに出るのがアクティブファンドの特徴です。

アクティブファンドの具体的な使われ方

市場平均を超えるリターンを目指すアクティブファンドですが、投資家はどのように活用し、またどのような点に注意すべきでしょうか。

アクティブファンド投資のメリット

アクティブファンドには、インデックスファンドにはない以下のようなメリットが期待されます。

  1. 市場平均を上回るリターンへの期待: これがアクティブファンドに投資する最大の動機でしょう。優れたファンドマネージャーが、的確な銘柄選択や売買タイミング判断を行うことで、インデックスファンドでは得られない高いリターンを実現できる可能性があります。特に、ファンドマネージャーが得意とする市場環境や、情報が非対称な市場(例:小型株市場や新興国市場など)においては、その能力が発揮されやすいとも言われます。また、下落相場においても、銘柄選択や現金比率の調整などによって、ベンチマークよりも下落率を抑える(あるいはプラスのリターンを出す)ことを目指すファンドもあります。
  2. 特定の投資テーマや運用哲学への投資: 自分が関心を持っている特定のテーマ(例えば、環境問題に貢献する企業や、革新的な技術を持つ企業など)に投資したい場合や、尊敬するファンドマネージャーの運用哲学に共感できる場合、それらに合致したアクティブファンドを選ぶことで、自分の価値観に合った投資を実現できます。これは、単に市場平均を目指すインデックスファンドでは得られない満足感につながるかもしれません。
  3. 専門家(プロ)による運用: 自分で個別企業の分析や市場動向の予測を行う時間や知識がない投資家にとって、経験豊富な運用のプロフェッショナルに資産運用を任せられるという点は大きなメリットです。複雑な市場環境の中で、個人では難しい高度な分析や機動的な対応を期待できます。
  4. 情報提供と学びの機会: アクティブファンドの多くは、定期的に「月次レポート」や「運用報告書」を発行しています。これらには、ファンドマネージャーの市場に対する見方(マーケットコメント)、ポートフォリオの状況、具体的な投資戦略やその根拠などが記載されており、投資家はそれを読むことで専門家の考え方を学び、自身の投資知識を深めるきっかけを得られることがあります。

アクティブファンド投資のデメリット・注意点

一方で、アクティブファンドには無視できないデメリットや注意点も存在します。

  1. コスト(信託報酬など)が高い: これがアクティブファンドの最大の弱点と言っても過言ではありません。ファンドマネージャーやアナリストによる調査・分析活動、頻繁な売買に伴うコストなどがかかるため、インデックスファンドと比較して信託報酬(運用管理費用)が大幅に高く設定されているのが一般的です。年率1%~2%以上の信託報酬も珍しくありません(低コストのインデックスファンドは0.1%前後かそれ以下も多い)。購入時手数料が必要なファンドも多く存在します。この高いコストは、リターンを直接的に押し下げる要因となり、市場平均に勝つためのハードルをさらに高くしています。
  2. 市場平均を下回るリスク: アクティブファンドは市場平均を上回ることを目指しますが、その目標を達成できる保証は全くありません。ファンドマネージャーの判断が市場の動きと逆行したり、選んだ銘柄が期待通りに成長しなかったりすれば、市場平均のリターンを大きく下回ってしまう可能性も十分にあります。コストが高い分、ベンチマークに負けた場合のダメージはより大きくなります。
  3. 良いファンドを見つけるのが非常に難しい: 世の中には星の数ほどのアクティブファンドが存在しますが、その中から将来にわたって継続的に優れた運用成績を上げられるファンドを見つけ出すのは、プロにとっても至難の業です。過去の運用成績(トラックレコード)は参考にはなりますが、過去のパフォーマンスが将来も続くとは限りません。ファンドマネージャーの交代によって運用方針が変わるリスクもあります。ファンドを選ぶ際には、目論見書や運用報告書を熟読し、運用哲学、投資プロセス、リスク管理体制などを深く理解し、納得できるかを見極める必要があります。
  4. 運用成績のばらつきが大きい: 同じカテゴリー(例えば「国内大型グロース株」など)に属するアクティブファンドであっても、採用する戦略や組み入れ銘柄の違いから、運用成績には大きな差が出ることが一般的です。どのファンドを選ぶかによって、結果が天国と地獄ほど変わる可能性もあります。
  5. 透明性の問題(相対的に): インデックスファンドは連動対象の指数構成銘柄が公開されているため、何に投資しているかが比較的明確です。一方、アクティブファンドは、運用戦略上の理由から、ポートフォリオの詳細な構成内容がリアルタイムでは開示されない、あるいは開示頻度が低い場合があります。

アクティブファンドの投資成績の実態

では、実際のところ、アクティブファンドの投資成績はインデックスファンド(市場平均)と比較してどうなのでしょうか?

この点については、長年にわたり多くの調査・研究が行われていますが、残念ながら、

「長期的には、多くのアクティブファンドは市場平均(対応するインデックス)のリターンを下回っている」

という結果を示すデータが大勢を占めています。

その代表的な調査が、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が定期的に発表している「SPIVA(S&P Indices Versus Active)スコアカード」です。このレポートは、世界各国の市場において、アクティブファンドが対応するS&P指数(ベンチマーク)に勝てた割合(勝率)を集計しています。
例えば、米国市場のデータを見ると、大型株ファンドにおいては、過去10年や15年といった長期で見ると、実に8割~9割以上のアクティブファンドがS&P500指数を下回るという結果が一貫して示されています。日本市場や欧州市場でも、市場やカテゴリーによって差はありますが、長期的に見ると多くのアクティブファンドがベンチマークに勝てていない傾向が見られます。

なぜ多くのアクティブファンドがインデックスファンドに勝てないのか? 主な理由としては、前述の①高いコスト②市場の効率性(特に多くのプロが参加する主要市場では、継続的に有利な情報を見つけて超過リターンを得るのは非常に難しい)、そして③運用者の能力差や判断ミスなどが挙げられます。

ただし、このデータは全てのアクティブファンドが負けている」という意味ではありません

一部には、長期間にわたって優れた成績を上げ続けているアクティブファンドや、カリスマ的なファンドマネージャーが存在することも事実です。また、情報の非対称性が大きいとされる新興国市場や小型株市場などでは、アクティブ運用が比較的優位性を発揮しやすいという見方もあります。


問題は、投資家が事前に、将来優れた成績を上げるアクティブファンドを選び出すことが極めて難しいという点にあるのです。

アクティブファンドとインデックスファンドは何が違う?どっちがいいの?

ここまでアクティブファンドについて詳しく見てきましたが、ここで改めて、もう一方の主役である「インデックスファンド」との違いを整理し、どちらを選ぶべきかについて考えてみましょう。

インデックスファンドとは? ~市場平均を目指す運用~

インデックスファンドは、「特定の市場指数(ベンチマーク)と同じような値動きをすること」を目指す投資信託です。「パッシブ運用」と呼ばれる受動的な運用スタイルを取り、指数構成銘柄に合わせて機械的にポートフォリオを構築・維持します。主な特徴は、低コスト、分散効果が高いこと、運用内容が分かりやすいことです。市場平均並みのリターンを目指します。

アクティブ vs インデックス:違いを比較

アクティブファンドとインデックスファンドの主な違いを比較表にまとめます。

運用目標
アクティブファンド: 市場平均超え (アルファ追求) / インデックスファンド: 市場平均連動 (ベータ獲得)
運用手法
アクティブファンド: 積極的 (銘柄選択・売買) / インデックスファンド: 受動的 (指数追随)
運用者
アクティブファンド: ファンドマネージャーの裁量大 / インデックスファンド: (原則)機械的ルール
コスト
アクティブファンド: 高い傾向 / インデックスファンド: 低い傾向
リターン
アクティブファンド: 市場平均を上回る/下回る可能性 / インデックスファンド: 市場平均並み
リスク
アクティブファンド: ファンドによる (市場リスク+α) / インデックスファンド: 市場全体のリスク (ベータ)
ファンド選び
アクティブファンド: 難しい (目利きが必要) / インデックスファンド: (比較的)易しい (指数選択)

結局どっちを選ぶべきか?

では、アクティブファンドとインデックスファンド、結局どちらを選べば良いのでしょうか? これに対する唯一の正解はありません。どちらが良いかは、投資家一人ひとりの投資目的、リスク許容度、知識・経験レベル、投資にかける時間や労力によって最適な選択は異なります

インデックスファンドが向いている可能性が高い人:

  • 投資初心者の方
  • 低コストで手間をかけずに運用したい方
  • 市場平均並みのリターンで満足できる方
  • 長期的な資産形成(つみたてNISAなど)を目指す方

アクティブファンドが向いている可能性がある人:

  • 市場平均以上のリターンを積極的に狙いたい方
  • 特定の投資テーマや運用哲学に共感できる方
  • ファンド選びに時間と労力をかけられる方
  • 高いコストや市場平均を下回るリスクを受け入れられる方

組み合わせるという選択肢(コア・サテライト戦略):
また、両者を組み合わせるという考え方もあります。資産の中核(コア)部分は、低コストで安定的なリターンを目指せるインデックスファンドで運用し、一部の資金(サテライト)で、より高いリターンを狙ってアクティブファンドや個別株に投資するという「コア・サテライト戦略」です。これにより、リスクを抑えつつ、超過リターンの機会も追求することが可能になります。

最終的には、ご自身の状況や考え方に最も合った方法を選ぶことが重要です。

まとめ

アクティブファンドとは: 市場平均(ベンチマーク)を上回るリターンを目指し、ファンドマネージャーが積極的に銘柄選択や売買を行う投資信託です。

メリット・デメリット: 市場平均超えのリターンが期待できる反面、コストが高く、市場平均を下回るリスクもあり、優れたファンドを見つけるのが難しいという特徴があります。

投資成績の実態: 長期的に見ると、多くのアクティブファンドはコスト控除後でインデックスファンド(市場平均)のリターンを下回っているというデータが多く存在します。

インデックスファンドとの違い: 運用目標、運用手法、コスト、リターン特性、ファンド選びの難易度などが異なります。どちらを選ぶかは投資家自身の目的やリスク許容度によります。

選ぶ際の注意点: アクティブファンドを選ぶ際には、コストに見合うリターンが期待できるか、運用哲学やプロセスに納得できるかを慎重に見極める必要があります。

アクティブファンドは、市場平均を超える可能性を秘めた魅力的な選択肢ですが、その実現の難しさや高いコスト、リスクを十分に理解しておく必要があります。アクティブファンドへの投資を検討する際には、過去の成績だけでなく、そのファンドの運用哲学やプロセス、コスト体系などをしっかりと調査・分析し、ご自身が納得できるかどうかを慎重に見極めることが極めて重要です。

 

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