VWAPとは?計算方法・使い方をわかりやすく解説!デイトレで勝つための指標

VWAP

 

VWAPとは?計算方法・使い方をわかりやすく解説!デイトレで勝つための指標

株式投資、特にデイトレードなど短期的な売買を行う際に、「VWAP(ブイワップ)」という言葉や、チャート上に表示されるそのラインを意識することが非常に重要になります。

「VWAP」とは、一体何を意味する指標なのでしょうか? 単なる移動平均線とは何が違うのか、どのように計算されているのか、そして実際のトレードでどのように使い方をすれば良いのか、わかりやすく知りたいと思いませんか?

VWAPは、その日の市場参加者全体の平均的な売買コストを示すと考えられており、特に機関投資家などが取引執行の目安とすることから、株価の節目として強く意識される傾向があります。その意味や使い方を正しく理解し、トレード戦略に取り入れることで、より有利な売買タイミングを見つけたり、市場の状況を的確に判断したりする助けとなります。

この記事では、「VWAP」とは何か、その基本的な意味や重要性、具体的な計算方法、移動平均線との違い、そしてデイトレードなどで役立つ実践的な使い方や注意点まで、初心者の方にもわかりやすく徹底解説していきます。

VWAPとは?投資用語の徹底解説

VWAPの基本的な意味 ~出来高を加味した平均価格~

VWAPとは、

「Volume Weighted Average Price」の頭文字を取った略称で、

日本語では「出来高加重平均価格」

と訳されます。

なにを表しているのかというと、

VWAPは、

その日の取引時間中に成立したすべての売買価格を、

価格ごとの出来高で重み付け(加重平均)して算出した平均価格

を表しています。


簡単に言えば、

「その日にその銘柄を売買した投資家全体の、平均的な約定コスト

を示すものともいえます。

VWAPの特徴
  1. 出来高重視 単純に価格だけを平均する移動平均線などとは異なり、出来高、つまり「どれだけの量の取引がその価格で行われたか」を考慮に入れる点が最大の特徴です。取引量が多かった価格帯(多くの投資家が売買に参加した価格帯)の株価が、VWAPの計算により強く反映されます
  2. 当日限定指標: VWAPは、基本的にその日の取引開始(寄り付き)から計算が始まり、取引時間中の出来高と価格を累積して算出されます。そして、取引終了(大引け)とともにその日の計算は終了し、翌日にはまたゼロから計算が開始されます。そのため、主にデイトレードなど、その日のうちの売買判断に使われることが多い指標です。

なぜVWAPが重要視されるのか?

では、なぜこのVWAPが多くの市場参加者、特にプロの投資家から重要視されるのでしょうか?

結論から言えば市場参加者の本日のその銘柄における平均コスト(平均価格)算出の参考になるからです。

機関投資家のベンチマーク

多くの機関投資家は、大口の株式注文を執行する際に、このVWAPを意識しています。彼らは、運用担当者からトレーダーに対して、「できるだけVWAPに近い価格で、あるいはVWAPよりも有利な価格で約定させること」を目標として指示することがあります(「VWAPオーダー」や、価格を保証する「VWAPギャランティ取引」など)。そのため、VWAP価格の周辺では、機関投資家による大口の売買注文(特に執行アルゴリズムによる自動注文)が出やすいと考えられています。

市場参加者の平均コスト意識

VWAPが「その日の売買の平均コスト」を示すと広く認識されているため、多くの市場参加者がこの価格水準を心理的な節目として意識します。現在の株価がVWAPより上にあれば「平均より高く買っている人が多い(含み益状態の人が多い)」、下にあれば「平均より安く買っている人が多い(含み損状態の人が多い)」と判断され、その後の行動に影響を与えます。

当日の相場の強弱・方向性の判断材料

現在の株価がVWAPを上回っているか、下回っているかを見ることで、その日の相場が買い方優勢なのか、売り方優勢なのか、大まかな強弱や方向性を判断するための重要な手がかりとなります。

これらの理由から、VWAPは単なる平均価格ではなく、市場の需給や心理状態を反映した、実践的な意味合いを持つ指標として重視されているのです。

移動平均線との違い

VWAPとよく似たテクニカル指標に「移動平均線(Moving Average)」があります。両方とも平均価格を示すラインですが、その性質は大きく異なります。

計算要素
VWAP: 価格 と 出来高 / 移動平均線: 価格 (主に終値) のみ
計算期間
VWAP: 当日(1日)限定 (累積計算) / 移動平均線: 過去の一定期間 (例: 5日, 25日, 75日)
示すもの
VWAP: 当日の平均約定コストの目安 / 移動平均線: 過去の一定期間における価格トレンドの目安
リセット
VWAP: 毎日リセットされる / 移動平均線: 日々計算対象期間が移動していく
主な用途
VWAP: デイトレード、機関投資家の執行目標 / 移動平均線: スイングトレード、中期トレンド判断

VWAPは「出来高」という取引の活発度を考慮し、かつ「当日」の平均コストに焦点を当てている点が、価格のみで過去のトレンドを見る移動平均線との決定的な違いです。そのため、特に日中(ザラバ)の取引においては、移動平均線よりもVWAPの方が市場参加者のコスト意識や需給をよりリアルタイムに反映していると考えられる場合があります。

VWAPを理解してトレード上達につなげよう

VWAPの基本的な意味がわかったところで、次にその指標が持つ意味合いをもう少し深く掘り下げ、トレード戦略にどう活かせるかのヒントを探ってみましょう。

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VWAPが示す市場参加者の「合意価格」

VWAPは出来高で加重平均されているため、取引が少なく閑散とした価格帯よりも、多くの投資家が実際に売買を行った(活発に取引された)価格帯の影響を強く受けます。


これは言い換えれば、VWAPがその日、多くの市場参加者が「このくらいの価格なら売買しても良い」と納得し、合意が形成された価格水準を示している、と解釈することができます。
この「市場の合意価格」とも言えるVWAPを、現在の株価が上回っているのか、下回っているのかは、その後の価格動向を占う上で重要な意味を持ちます。

VWAPと株価の位置関係から読み取れること

チャート上でVWAPラインと現在の株価の位置関係を見ることで、その時点での相場の強弱やトレンドの方向性を判断することができます。

バリュー株

1.株価がVWAPより上にある状態 (株価 > VWAP)

  • これは、現在の株価が、その日の平均的な売買コストよりも高いことを意味します。
  • 買い方の勢いが売り方よりも強く、上昇トレンドが継続しやすい状況と解釈できます。
  • この状態では、VWAPラインが下値支持線(サポート)として機能しやすく、株価が一時的にVWAP付近まで下がっても、そこで買い支えられて反発する、といった動きが見られることがあります。
  • また、その日に買った人の多くが含み益の状態にあるため、心理的にも強気になりやすいと考えられます。

2.株価がVWAPより下にある状態 (株価 < VWAP)

  • これは、現在の株価が、その日の平均的な売買コストよりも安いことを意味します。
  • 売り方の勢いが買い方よりも強く、下降トレンドが継続しやすい状況と解釈できます。
  • この状態では、VWAPラインが上値抵抗線(レジスタンス)として機能しやすく、株価が一時的にVWAP付近まで上昇しても、そこで売り圧力に押されて反落する、といった動きが見られることがあります。
  • その日に買った人の多くが含み損の状態にあるため、少し株価が戻ったところでやれやれ売り(損切りや建値撤退の売り)が出やすいとも考えられます。

3,株価がVWAP付近で推移している状態

  • 買い方と売り方の力が拮抗し、方向感を探っている状態です。
  • 株価がVWAPラインを挟んで上下にもみ合っている状況では、市場参加者は次の方向性を決めかねています。このもみ合いから、どちらか一方に明確に抜ける(ブレイクアウトする)かが注目されます。もみ合い抜けは株価は一般的にはどちらかの方向に大きく動く傾向にあります。

デイトレードにおけるVWAPの重要性

VWAPは当日限定の指標であるため、特に日計り取引を行うデイトレーダーにとっては、極めて重要なテクニカル指標の一つとして認識されています。

  • 当日の売買コストの基準: 自分のエントリー価格が、市場全体の平均コストであるVWAPと比較して有利な水準か不利な水準かを客観的に判断できます。
  • エントリー(新規建て)とエグジット(決済)の目安: VWAPを支持線や抵抗線と見なして、売買のタイミングを計るための重要な基準となります(具体的な使い方は後述)。
  • 機関投資家の動きの推測: VWAP付近での価格の動きや出来高の変化を見ることで、機関投資家による大口注文の執行(買い支えや上値の抑制など)の可能性を推測する手がかりとすることがあります。

デイトレードを行う上で、VWAPをチャートに表示させ、その動きを常に意識することは、トレードの精度を高める上で非常に有効と言えるでしょう。

VWAPの計算方法と実際の使い方

では、VWAPは具体的にどのように計算され、実際のトレードではどのように使われるのでしょうか?

VWAPの計算方法 ~出来高で重み付け~

VWAPは実際にはどのような計算式で算出されているのでしょうか。その計算式を説明します。


VWAPは、

当日の取引時間中の「累計売買代金」を「累計出来高」で割る

ことで計算されます。

VWAPの算出方法

VWAP = 当日累計売買代金 ÷ 当日累計出来高

ここで、

  • 当日累計売買代金 = Σ (各取引の約定価格 × 各取引の出来高)
    • その日の取引開始から現時点までに成立した、全ての取引の「価格×出来高」を合計したものです。
  • 当日累計出来高 = Σ (各取引の出来高)
    • その日の取引開始から現時点までに成立した、全ての取引の出来高(株数)を合計したものです。

簡単な例で見てみましょう:
ある銘柄の、取引開始からの最初の3回の取引が以下のようだったとします。

  • 1回目: 1,000円で100株 約定 (売買代金: 100,000円)
  • 2回目: 1,010円で200株 約定 (売買代金: 202,000円)
  • 3回目: 1,005円で50株 約定 (売買代金: 50,250円)

この時点でのVWAPは、

  • 累計売買代金 = 100,000 + 202,000 + 50,250 = 352,250円
  • 累計出来高 = 100 + 200 + 50 = 350株
  • VWAP = 352,250円 ÷ 350株 ≒ 1006.4円

となります。出来高の多かった1,010円の取引の影響が、単純平均よりも強く反映されていることがわかります。

個人で計算する必要はほぼないです


この計算は取引ごとに累積していくため、手計算で行うのは現実的ではありません。しかし、現在では、ほとんどの証券会社のトレーディングツールや、主要なチャートソフト、株価情報サイトなどで、VWAPが自動的に計算され、チャート上にラインとして表示されます。そのため、個人投資家が自分でVWAPを計算する必要はほとんどありません。

VWAPのチャート表示と設定

多くのチャートツールでは、テクニカル指標の選択項目の中にVWAPが含まれています。それを選択するだけで、通常は1本のラインがローソク足チャートなどに重ねて表示されます。
基本的に分足チャート(1分足、5分足など)や時間足チャートで使用します(日足チャートでは意味を持ちません)。

ツールによっては、VWAPラインに加えて、VWAP±1σ(標準偏差)、±2σ、±3σといった「VWAPバンド」を表示できる機能もあります。これは、ボリンジャーバンドのように、株価がVWAPからどの程度乖離しているか(買われすぎ・売られすぎ)を視覚的に捉えるのに役立ちます。

VWAPを使った具体的なトレード手法

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ここではVWAPを用いたトレード手法を紹介します。これらの手法は主にデイトレードで用いられる考え方です。

支持線(サポート)・抵抗線(レジスタンス)としての活用

  • 押し目買い: 株価が上昇トレンドにあり、VWAPより上で推移している場合、株価が一時的にVWAPライン付近まで下落してきた(押してきた)タイミングを、絶好の買い場(押し目)と捉える手法です。VWAPが下値支持線として機能し、反発することを期待します。VWAPを明確に割り込まずに反発する形が理想的です。
  • 戻り売り: 株価が下降トレンドにあり、VWAPより下で推移している場合、株価が一時的にVWAPライン付近まで上昇してきた(戻してきた)タイミングを、絶好の売り場(戻り売り、または空売りのチャンス)と捉える考え方です。VWAPが上値抵抗線として機能し、反落することを期待します。VWAPを明確に上抜けずに反落する形が理想的です。
  • ブレイクアウト: これまで支持線となっていたVWAPを株価が明確に下抜けた場合は、下降トレンドへの転換または加速のサインと見て売りを検討します。逆に、抵抗線となっていたVWAPを明確に上抜けた場合は、上昇トレンドへの転換または加速のサインと見て買いを検討します。この際、出来高を伴っているかも重要な判断材料となります。

トレンドの方向性と強さの判断

VWAPからの乖離を利用した逆張り

  • 株価がVWAPラインから大きく上方(または下方)に乖離した場合は、短期的に買われすぎ(または売られすぎ)の状態にあると考えられます。その行き過ぎた状態が修正され、株価がVWAPに引き戻される動き(平均への回帰)を狙った逆張り戦略です。VWAPバンド(±2σや±3σなど)がこの判断の目安として使われることがあります。ただし、トレンドが強い場合は乖離したまま推移することもあるため、逆張りでもあるためそこだけ注意しましょう。損切りラインを明確にしておきましょう。

出来高と組み合わせて他の根拠高める

  • VWAPは出来高を考慮した指標ですが、VWAPを用いた売買サイン(例:VWAPでの反発、VWAPのブレイク)が出た際に、そのタイミングでの出来高が急増しているかどうかを確認することは非常に重要です。出来高を伴ったサインは、信頼性が高いと判断できます。逆に出来高が少ない場合は、「ダマシ」の可能性も疑います。

これらの使い方を参考に、ご自身のトレードスタイルにVWAPを取り入れてみてください。

VWAPを使う上での注意点

VWAPは非常に有用な指標ですが、万能ではありません。利用する際には以下の点に注意が必要です。

  • 当日限定の指標であること: VWAPはその日の取引データのみで計算され、翌日にはリセットされます。そのため、基本的にデイトレで最も有効であり、数日以上にわたるスイングトレードや長期投資でVWAPだけを根拠に判断するのは適切ではありません。スイングトレードなどでは、日足の移動平均線など他の指標を重視すべきです。
  • 出来高の少ない銘柄では信頼性が低い: VWAPは出来高で加重平均するため、そもそも出来高が極端に少ない流動性が低い銘柄では、VWAPの値が少数の取引によって大きく左右されてしまい、指標としての信頼性が低下します。ある程度の出来高がある銘柄で利用するのが基本です。
  • 単独での判断は避ける: VWAPは強力なツールですが、それだけで全ての売買判断を行うのは非常に危険です。市場には様々な要因が影響しており、VWAPのサイン通りに株価が動かないことも多々あります。必ず他のテクニカル指標、移動平均線、MACD、RSI、ボリンジャーバンドなどや、ローソク足の形状、あるいは市場全体の地合い(日経平均やTOPIXの動き、ランキングの活用、監視銘柄の動きなど)、ファンダメンタルズ要因(ニュース、適宜開示報告など)と組み合わせて、総合的に判断するようにしましょう。
  • 「ダマシ」の存在: テクニカル指標全般に言えることですが、VWAPをサポートやレジスタンスとして意識した売買が裏目に出る「ダマシ」も頻繁に発生します。例えば、VWAPを上抜けたように見えてすぐに反落する、VWAPで反発したかに見えてさらに下落する、などです。損切りルールを事前に明確に設定し、それを徹底することが、VWAPを使ったトレードで生き残るためには不可欠です。

VWAPのまとめ

VWAPとは:出来高加重平均価格」の略。当日の出来高を加味して計算された平均約定価格であり、市場参加者全体の平均コスト機関投資家の執行目標を示す重要な指標です。

計算方法と移動平均線との違い: VWAP = 当日累計売買代金 ÷ 当日累計出来高。価格のみを平均する移動平均線とは異なり、出来高で重み付けされ、かつ当日限定の指標である点が大きな違いです。

使い方(デイトレへの活用): 主にデイトレードで、株価とVWAPの位置関係から相場の強弱やトレンドを判断したり、VWAPを支持線・抵抗線と見なして押し目買いや戻り売りのタイミングを探ったり、ブレイクアウトの確認などに使われます。

注意点: 出来高の少ない銘柄では機能しにくいこと、単独での判断は危険であること(他の指標との組み合わせが重要)、「ダマシ」も存在するため損切りルールの徹底が必要であることなどを理解しておく必要があります。

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VWAPは、当日の市場参加者のコスト意識や需給のバランスを読み解く上で非常に有用なテクニカル指標です。その意味と使い方、そして限界を正しく理解し、他の分析手法と効果的に組み合わせることで、あなたのトレード戦略をより洗練させ、上達につなげることができるでしょう。

 

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